デザイン活動において、フォントや画像などのデザインツールは表現の幅を広げてくれる強い味方です。グラフィックデザインが変化するようにこれらのツールも、10年後にはさらに機能が充実することが予想されます。
さて、先週の集中デザイン講座★第2弾~Vol.3 グラフィックデザインの未来②【デザイン大躍進】に続いて、第2弾のVol.4となる今回は「グラフィックデザインの未来③【デザインツール2033】」として、フォントや画像の2033年の姿や使われ方を考察していきます。わたしたちのデザイン活動を支えるツールの未来の姿について一緒に考えていきましょう。
記事の目次
フォントの誕生は約500年前、活版印刷技術の発達してそれまで手書きで制作していた書物を印刷するようになったことがきっかけです。そこで生まれたのが手書き文字を参考にした「ブラックレター(Black Letter)」というフォント。当時紙は高価だったので、紙を節約することに重きが置かれ、ブラックレターで書かれた聖書は文字がぎっしり埋められています。
ブラックレターは印刷すると文字がつぶれて読みにくいとされ、15世紀の後半には「ローマン体」が登場します。シンプルで視認性(文字としての読みやすさ)が高いローマン体はすぐにヨーロッパ全土に広がり、今日まで長く使われています。グラフィックデザインには機能性の高さが重要だということがよくわかるエピソードです。
デザインツール2033
世界的なデザインサービス99designsが発表した「2033年、グラフィックデザインはこんな風になっている」では、フォント・GIF・写真素材の10年後のあり方が考察されています。ひとつひとつじっくり見ていきましょう。
【フォント】単語ごとにフォントを使い分けるようになる
1ページのフォントの数は2~3種類に抑える暗黙のルールのようなものがありますが、2033年にはそのルールがなくなると予測されています。さまざまな書体を使うことで、読者やユーザーの目を惹き、強く印象付けることができるからです。本のページをめくるたびにいろいろなフォントが自由に使われていたら、読書の楽しみが増えそうですね。単語ごとにフォントを変える、なんてことも一般的になっているかもしれません。
フォントの種類についてはどうでしょうか?2022年現在も日々多くの新しいフォントが生まれていますが、2033年にはさらに競争が激しくなると考えられます。異様なデザインのフォント、イラストを組み合わせたような装飾的なフォントなど目立つための工夫がポイントになりそうです。
【GIF】作品としての地位を確立する
GIFは画像保存形式の一つで、画像に1~2秒程度の短い動きをつけた静止画と動画の間のような存在です。再生ボタンを押さなくても、繰り返しループ再生されることや、保存容量が小さいことが特徴です。サイトのバナーやSNSで目にする機会が多く、InstagramやTwitterなどにはGIFを投稿するためのボタンがあります。
現在、GIFのアニメーションは写真や動画ほど素材として一般的ではありませんが、2033年にはGIFが写真・動画素材と同じくらいの地位を確立すると考えられています。静止画より多くの情報を盛り込め、動画に比べて視聴のハードルが低いので、使い勝手が良さはお墨付きです。サイトやSNSの使用頻度が高まるだけでなく、街中の広告にもGIFが使われるようになるかもしれません。
【写真素材】あらゆるシーンを網羅する
写真素材は本当に便利で素材提供サイトにお世話になっている人も多いのではないでしょうか?「お花見 女性」「犬 散歩」などキーワードを入力すれば、実際に撮影に行かなくてもワンクリックで写真が入手可能です。2033年までにさらにさまざまなシーンの写真がストックされ、人間が想像するあらゆるシーンを網羅すると考えられています。
ネット上であらゆる写真が入手できるので、実際の現場でカメラマンが撮影する機会が少なくなるかもしれません。今まではカメラマンに頼まなければできなかった表現が手軽にできるようになる可能性もぐっと高まります。
まとめ
この記事では【デザインツール2033】として、フォント・GIF・写真素材の10年後の姿を想像してみました。種類が豊富になるということは、それだけグラフィックデザインの幅が広がるということ。ツールの恩恵をありがたく享受して、デザイン活動に磨きをかけていきたいですね。デザインをする側のわたしたちも、新しい情報をキャッチし、アップデートし続けていきましょう。
デザイン講座Vol.2は今回で終了です。今後もシリーズ化していきたいと考えていますので、とりあげてほしいトピックがあればぜひ教えてください。最後まで読んでいただきありがとうございました!