特殊紙はその名の通り、特殊な製法で作られた紙。名刺やショップカードを手にしたときに「手触りが凸凹していてめずらしい紙だな」「紙にラメが入っていてきれいだな」と感じた経験はありませんか? 特殊紙には、手に取った瞬間にデザインよりも先に印刷物を印象付ける役割があります。
このページでは特殊紙の種類や効果的な使い方を解説します。特殊紙を効果的に用いてワンランク上の印刷物を作ってみましょう。
記事の目次
特殊紙印刷ってなに?
「どんな紙に印刷されているか」は印刷物を手に取ったときの第一印象を決める要因になります。たとえば、いくらデザインが優れているショップカードでも、折込チラシのようなペラペラな紙に印刷されていたら少し残念な印象を持つのではないでしょうか?
特殊紙が用いられた印刷物は、特徴的な手触りや風合いによって一般の用紙よりもインパクトが強い印刷物に仕上がります。文字やイラストで伝える情報ももちろん大切ですが、特殊紙の質感や風合いもデザインのひとつとして、会社やお店の雰囲気を伝える有効な手段になるというわけです。
印刷用紙を選ぶとき、印刷会社から、コート紙・マット紙・上質紙・特殊紙の4つの選択肢が提示されることが多いはずです。今回説明する特殊紙はコート紙・マット紙・上質紙以外の全ての用紙を指します。特殊紙には多くの種類があり、質感や風合いや機能がそれぞれ異なります。次の章で特徴や種類を詳しく解説します。
特殊紙の特徴と種類
数ある種類の中から厳選した特殊紙を特徴ごとにまとめます。特徴は次の通りです。
【特殊紙の特徴まとめ】
・凸凹感がある紙
・ザラザラ感がある紙
・透け感がある紙
・ツヤ感がある紙
・模様がある紙
・耐久性・耐水性がある紙
それぞれの紙の種類を見ていきましょう。
凸凹感がある紙
凸凹した手触りの紙は、手に取ってすぐに「ほかの印刷物とちがうな」とインパクトを与えてくれます。印刷すると色に濃淡がつくためより用紙の質感が際立ちます。
【用紙の一例】マーメイド紙/ヴァンヌーボ紙/タント紙/ヘリオスGA紙 など
ザラザラ感がある紙
ザラザラした感触の紙は、ナチュラル・素朴・自然のぬくもりなどの印象を演出したい際にぴったりの特殊紙です。紙の繊維を感じさせる見た目も合わさり、見ても触っても楽しいそんな印刷物が仕上がります。ザラザラの度合いや色味が異なるさまざまな種類があるので、お気に入りの紙を見つけてみてください。
【用紙の一例】シープスキン紙(羊皮紙)/ファーストヴィンテージ紙/新バフン紙/クラフトボード紙/里紙/サガンGA紙 など
透け感がある紙
先が透けて見える紙はデザイン性の高さの演出に長け、あえて中身を見せたい製品の封筒やパッケージや、繊細な印象を持たせたいときに用いられます。紙が薄いので耐久性には欠けますが、「透け」を活かして書籍の日焼け防止や型紙に使われるなど機能性の高さも侮れない紙です。
【用紙の一例】トレーシング紙/純白ロール紙/グラシン紙 など
ツヤ感がある紙
「ツヤ」と一言で言っても、メタリック調・パール調・鏡面のようなツヤなど紙によって特徴が異なります。紙の選び方次第で落ち着いたエレガントな雰囲気からきらびやかで派手な雰囲気まで印刷物に多様なテイストを加えてくれます。
【用紙の一例】ペルーラ紙/スタードリーム-FS紙/キャストコート紙(ミラーコート紙)/ミランダ紙 など
模様がある紙
紙の表面に、染めムラのようなまだら模様やマービルの模様、紙の繊維を感じさせる模様がある紙もあります。紙自体の個性が強いので、シンプルなデザインと相性がいいです。まだら模様やマーブル模様がある紙は高級感の演出、繊維の模様がある紙はナチュラルな風合いや和の印象を持たせるのに適しています。
【用紙の一例】フレンチマーブル紙/OKガイゼル紙/クラフトボード紙/草木染紙/シープスキン紙(羊皮紙) など
耐久性・耐水性がある紙
持ち運びや屋外での使用が想定されるパッケージやポスターなどに耐久性や耐水性のある特殊紙を用いることで、印刷物の機能性が高まります。厚みを増して強度を高めた紙や、原料にポリプロピレンなどの化学繊維を用いることで木材パルプにはない耐水性を持たせた紙など機能的な紙の種類も豊富です。
【用紙の一例】ユポ紙/コートボール紙 など
特殊紙の効果的な使い方
特殊紙は印刷物の第一印象を決める大事な要因の一つだということがわかりました。ただし通常の用紙よりはコストがかかるので、あれもこれも特殊用紙を使うのは現実的ではありません。印刷会社に使用目的やイメージをしっかり伝えて用紙を選ぶようにしましょう。
特殊紙は手に取ったときのインパクトが大きいので、店頭で直接手に取るショップカードや名刺、じっくり眺めてもらえるポストカードなどに使用すると効果的です。またパッケージや封筒に特殊紙を使えば、中に入っているものに特別感を持たせ、封を開ける前の気持ちの高まりを演出できます。ブランディングや差別化にも有効です。
【特殊紙を効果的に使える印刷物】
・名刺・ショップカード
・パッケージ
・招待状の封筒
・ポストカード
インパクトのある印刷物を作ろう
特殊紙印刷は、印刷物の仕上がりやインパクトにおいてデザインと同じくらい重要な役割を果たすことがわかりました。製紙メーカーから日々いろいろな特殊紙が出されているので、眺めているだけでも楽しくなります。印刷物にインパクトを持たせたい方はぜひ印刷する用紙にこだわってみてくださいね。