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印刷会社のSDGsとは?環境対策を考慮した印刷物のさまざまな試み

SDGsとは2015年に国連で定められた「持続可能な開発目標」で、環境対策や平等な社会を目指し17個の項目が定められています。さまざまな業界や企業がSDGsを達成するための取り組みを行っています。

印刷業界でもSDGsを掲げ「持続可能な社会の実現」を目指し、技術革新や日々の業務が進められています。この記事では、印刷会社として実際に取り組んでいる事例や個人や会社で今すぐに取り入れられる印刷物に関する環境対策を紹介します。パンフレットやチラシなどの身近な印刷物を通して「持続可能な社会の実現」について考えていきましょう。

印刷業界のSDGsとは?


脱炭素社会

一般社団法人日本印刷産業連合会では地球温暖化の要因となる温室効果ガスの排出抑制のための取り組みとして「2050年カーボンニュートラル宣言」が掲げられています。具体的には次のような内容が謳われています。

【2050年カーボンニュートラル宣言の具体的な取り組み】
1. 事業活動におけるエネルギー起因の排出極小化
  ①省エネ活動のさらなる推進
  ②再生可能エネルギー、新エネルギーの利用拡大
  ③プロセス・構造の転換によるエネルギー効率の最大化

2. カーボンニュートラル社会への ”印刷” の貢献
  ①新たな情報文化の創出
  ②新たな生活文化の創出
  ③低炭素な地域社会づくりに貢献

低炭素社会の実現に向けて、印刷会社の印刷現場で行われている対策については次の章以降で詳しく説明します。

印刷現場で実際に行われている環境対策


印刷現場でのSDGs

「2050年カーボンニュートラル宣言」を受け、印刷現場では紙・インキの見直しや印刷工程の転換が行われています。

【印刷現場での環境対策】
・エコロジーペーパーを利用する
・環境対応型インキを利用する
・無処理版で印刷する

それぞれの取り組みの中身をみていきましょう。

エコロジーペーパーを利用する


エコロジーペーパーのロゴマーク

エコロジーペーパーとは、再生紙・非木材紙など、森林資源の保全を目的として作られた紙の総称です。一般的な紙の原料は木材の繊維です。したがって、木の使用量を抑えた紙を使うことは大気中の二酸化炭素を吸収してくれる森林を守ることにつながります。エコロジーペーパーには次のような種類があります。

【エコロジーペーパーの種類】
・再生紙
・非木材紙
・シリアルペーパー
・木材認証紙
・間伐材紙
・グリーン電力用紙
・カーボンオフセット認証紙
・グリーン購入基準対応紙
・LIMEX(ライメックス)

印刷会社では取り扱うエコロジーペーパーの種類が年々増加し、発注時に顧客がエコロジーペーパーを使うかどうか選べる機会も増えました。エコロジーペーパーを使用すると印刷物にロゴマークを印刷できる場合もあります。意識してエコロジーペーパーを選ぶことで、環境に配慮した印刷物の制作が可能です。

環境対応型インキを利用する


植物油インキのロゴマーク

環境対応型インキとは、水性や植物性の溶剤から作られたインキを指します。これまでのインキは石油系の溶剤から作られていたため、印刷時に気化した溶剤から二酸化炭素が排出されていました。近年は、低酸素社会実現のために環境対応型のインキが広く用いられています。

環境対応型インキの代表的な種類が「植物油インキ(ベジタブルインキ)」です。植物油インキは、大豆油・亜麻仁油・桐油・ヤシ油・パーム油など植物由来の油や再生油を原料に作られます。一般的な紙の印刷物や新聞の印刷など、印刷現場で広く用いられています。

無処理版で印刷する

印刷会社では、印刷工程で「無処理版」を用いることで環境負荷の少ない印刷が行われています。刷版(版を制作すること)は従来、焼付(やきつけ)→現像という手順で制作されていましたが、無処理版では現像を行わずに刷版を行います。

刷版の現像工程がなくなると、環境負荷や業務負担が軽減され、環境面でも作業面でもメリットがあります。無処理版ではできあがった版の絵柄が目視しにくい・同じデータでも印刷時の色調が異なるというデメリットもありましたが、技術革新により現在では有処理版と同じクオリティの印刷ができるようになりました。多くの印刷会社が無処理版を取り入れ、環境負荷の軽減を図っています。

新潟印刷のSDGs

新潟印刷では、SDGsの「12.つくる責任・つかう責任」において、地域と連携した「残紙活用プロジェクト」を進めています。「残紙活用プロジェクト」とは、印刷時に余った用紙を地域の児童施設に提供し、子どもたちの創作活動などに利用してもらうというプロジェクトです。これまでに残紙を提供した施設の一部を紹介します。

MIRAPRO ミライのプログラミング ミラプロ


残紙活用プロジェクト2 残紙活用プロジェクト1

新潟市内のプログラミング教室では、残紙で新潟まつり2022の信濃川灯籠流しの灯籠を作ってくださいました。子どもたちはそれぞれ自分の灯籠を作り、信濃川に流しました。

不登校や発達障がいがある子どもたち向けの学習支援をしている水野谷塾では、残紙を使って自由に絵を描くイベントを企画してくださいました。日常であまり目にすることがない大きな紙・豊富な種類の紙を前に子どもたちは思い思いの時間を楽しんでいたそうです。

まとめ

印刷業界では、環境負荷の少ない印刷物制作のために日々技術革新が行われています。個人や会社で印刷をする際も、エコロジーペーパーや環境対応型インキを使用することで、環境に配慮した印刷物制作が実現します。エコロジーペーパーや植物油インキは特定のマークがあるので、意識してマークがついている製品を選ぶようにしていきましょう。

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