「印象に残るデザインを制作したい!」という想いは、営業もマーケターもデザイナーもクリエイターも同じ。そんな想いに応えるべく、第1弾の集中デザイン講座では「レイアウト編」「配色編」「フォント編」として初心者でも目を惹くグラフィックに仕上げるためのデザインの作り方を紹介しました。
第2弾となる今回は、グラフィックデザインの「考え方」や「デザインの未来」など、より根幹の部分に迫っています。このページでは「Vol.1 グラフィックデザインの考え方」としてデザインを始める前に知っておきたい内容をまとめました。ぜひ楽しみながら読み進めてください。
グラフィックデザインの考え方
グラフィックデザインを始める前に知っておきたい考え方は、
だれに・なにを・どうやって伝えるかがデザインを決めるカギになる
ということです。チラシ・HP・ポスター・動画などの全てのコンテンツは情報伝達手段の一つです。かっこいい・おしゃれ・目を惹くなどの要素も大切ですが、前提として、デザインは情報をわかりやすく伝えるための手段であることを忘れてはいけません。情報をわかりやすく伝えるためには「だれに」「なにを」「どうやって」伝えるかを整理しておく必要があります。
だれに・なにを・どうやって伝えるかがイメージしにくい、という人は、たとえば、スマートフォンについて誰かに説明するシチュエーションを想像してみてください。
・相手は子ども/相手は大人
・通話の仕方を説明する/色や大きさを説明する
・図を見せながら話す/電話口で口頭で話す
など「だれに」「なにを」「どうやって」伝えるのかによって話し方や話す内容が大きく異なるかと思います。いくら話上手な人でも、目の前にいる相手に伝えるべきことを過不足なく伝え、相手に正確に理解されなければ、優れた話し手とは言えません。
デザインも考え方は同じです。デザインを始める前に「だれに」「なにを」「どうやって」を明確にして、目的に合わせて骨格を組み立てることで優れたコンテンツができあがります。デザイン=伝達手段ととらえ、レイアウトに取りかかる前に必要な情報を整理するようにしましょう。
デザインを考える際によく用いられる用語
実際のレイアウト作業に入る前によく用いられる言葉を3つ説明します。
・テーマ
・コンセプト
・トーン&マナー(トンマナ)
聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これらの言葉は、自身でデザインをするときはもちろんですが、デザイン会社や制作会社との打ち合わせでも頻繁に用いられる用語なので、意味を理解しておいて損はありません。例を挙げながら説明していきます。
テーマ
テーマは、メインとなる事物(商材・商品・サービスなど)を指します。電化製品、化粧品、食品などのモノ、体験やサポートなどのコト、キャンプ場やホテルなどの場所、など、PRしたい事物がデザインのテーマになります。
コンセプト
コンセプトは、考え方・概念・視点を指し、テーマをどんな風にとらえるかによって無数に存在します。たとえば「パソコン」がテーマだとすると、次のようなコンセプトが考えられます。
・軽くて持ち運びがしやすい
・処理速度が速くて高負荷な作業にも耐えられる
・操作がシンプルでわかりやすい
このように同じテーマでもコンセプトによって、表現の仕方が変わることがわかります。テーマが決まっていても、コンセプトが定まっていなければ、情報の優先順位が付けられず良いデザインにはなりません。
コンセプトを考えるには、次のような視点が役立ちます。
・ユーザーはどんなことに困っているか
・商品やサービスを利用するとユーザーにどんなメリットがあるか
消費者の目線に立って、思いつくことを書き出してみましょう。キャッチコピーのように言葉を整える必要はありませんが、表現を精査して、誰にでもわかる短い言葉でまとめることによって本当に伝えたい情報がなにかわかるはずです。ぜひ試してみてください。
トーン&マナー(トンマナ)
トーン&マナー(以下トンマナ)とは、デザインの雰囲気やテイストのことです。デザイン・商品・ブランドに一貫性を持たせるための要素で、デザインが「その会社らしく」仕上がっているかに関わる大事な要因になります。
トンマナは、配色・フォント・イラストのテイストを決める判断基準になるので、設定されていないと「もっと明るい雰囲気が良かった」「イメージしていた仕上がりと異なる」など、意図しない成果物になってしまう可能性があります。トンマナをしっかりと定めて制作者間で共有し、みんなが同じゴールに向かって作業が進められるようにしましょう。
まとめ
このページでは、実際の作業に入る前に考えておきたいことや、デザインを決める打ち合わせ時によく用いられる用語について説明しました。デザインの目的やテーマ・コンセプトなどについて担当者間でしっかり話し合い、よいコンテンツのための骨格を作っていきましょう。次回は「Vol.2 デザインの未来編」として、これからのデザインに求められる考え方や機能について考察します。お楽しみに。